紛争の内容
依頼者はトラックドライバーとして働いていましたが、残業代が支払われていませんでした。
就業規則・賃金規定上、固定残業代と言えるように見える規定がありましたが、その有効性には疑問がありました。

交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士から会社に対して、固定残業代制度に問題があることを指摘し、残業代が支払われていないことを理由に支払い請求をしました。

しかし、会社からは、固定残業代制度は有効として、話合いには応じてもらえませんでした。

そこで、訴訟提起し、裁判所の判断に委ねることにしました。

この会社では、途中で賃金規定が改定され、固定残業代制度が有効にも見えるような微妙な内容となっていました。

しかし、制度の定め方に多義的に見えてしまう落ち度があり、何よりも残業代を全く払っていない問題点もありました。

本事例の結末
最終的に、固定残業代が全く無効とまでは言い切れないものの、改定されて有効と見える余地もあるため、請求金額の6割の残業代が認められました。

本事例に学ぶこと
固定残業代制度は、有効性に疑義がある定め方をする会社が見られるため、本件のようなトラブルに発展するケースがあります。

判例上、一定の定式は示されていますが、解釈の余地があるため、裁判官単位で考え方が分かれます。

そのため、裁判となった場合の見通しが立てづらいところがあり、ご相談にあたっては固定残業代の詳細を裏付ける資料を持参いただき、検討していきたいと考えています。

弁護士 平栗 丈嗣